コラム

今月のコラム

2022年09月号

歯科医院経営を考える(537)
~我が国の憲法について~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 毎年のことだが、8月の終戦の日が近づくと太平洋戦争に関する話題が賑わいを見せるが、今年は少し様子が厳しくなり、緊迫しているように感じる。ウクライナで戦争が続いていることと、日本の隣国(中国、北朝鮮、ロシア)では核ミサイルが増産されつつあるという情報が原因である。ハーバード大学の教授で、カーター政権下では、アメリカ合衆国安全保障会議に加わり、ブレジンスキーと共に1978年には「アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)」を創設したサミュエル・フィルップス・ハンティントン(1927.4.18~2008.12.24)は1990年の後半に五つの予言を残しているという。それは①世界の一極化は失敗する。②アメリカは国内対立が激しくなり、③プロティスタント倫理、アングロサクソン的な政策を失いアイデンティティを失う。④中国と覇権闘争する意志力と精神力を失う、⑤アメリカは東アジアから撤退していくだろう。日本は中国の勢力圏内に吸収されていくだろう。こうした状況下にあって我が国の憲法の改正が問題になっている。そもそも国の憲法というものは、①合法であるかどうか、②正当性があるか(正しく道理に合っている)、③正統化できるか(正しい系統、血統、始祖の教え、学説を忠実に受け継いでいく)が満たされているかどうかだが、1946年2月占領軍による日本国憲法が提示された。この占領軍の作成した憲法を起草したのは、なんとアメリカ陸軍の若手の士官25人とケーディス大佐だったという。しかも法律に関係した学校を出ている者は4人しかいなかったというから素人が作ったようなものだ。その後国際政治アナリストの伊藤貫氏はこの日本国憲法を作った士官と講談社の月刊雑誌「Views」で対談したが、GHQの占領が終わっても、このような憲法が活用されていることに驚いていたという。当時は占領下で言論の自由がなかったが形式的に議会で討議したことになっているという。1980~1990年にわたって外務省の事務次官を務め、その後駐ドイツ大使、駐米大使をされた村田良平氏が退任後にかかれた「村田良平回想録」~祖国の再生を次世代に託して~では、我が国の憲法に対して、「このような占領軍憲法は最初から無効である」と日本政府は宣言すべきであると明言している。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2022年09月号より転載〕