2019年02月号
歯科医院経営を考える(497)
~災害の備えを~
デンタル・マネジメント
コンサルティング
稲岡 勲
昨年は災害の多い年であった。6月の大阪北部地震、7月豪雨、9月の台風21号の被害、北海道胆振東部地震、台風24号の被害等である。特に7月豪雨は広島、岡山を中心に九州から近畿、四国に及ぶ広範囲で被害が出た。この時広島の床上浸水軒数が3,158軒、岡山の1,666軒を初め1都8県で7,173軒の床上浸水があった。北海道の地震では死者41人、家屋の全壊が409軒、半壊が1,262軒(いずれも内閣府1月発表)である。年々水害被害が増えているように思う。地震の予知はどうしようもないが、風水害については自分の住んでいる土地や河川の状況を把握しておくべきである。特に歯科医院の場合は患者がいることでもあり、もしもの場合を想定して緊急避難の対策を考えておくべきである。特に基本的なことだが、先ず自己の住んでいる土地の特徴を知ることである。その場合に役立つのが国土地理院の航空写真で、今住んでいる土地の住宅地以前の土地の様子が分かる今昔のマップである。(インターネットで「国土地理院・今昔マップ」で検索すれば見られる)一番古い写真では明治30年頃は山地だったとか、池を埋め立てて住宅地にしているとかが大体わかる。埋立地の場合、地滑りやがけ崩れが派生し易いかどうかの予想が付くから予め調べておくべきだ。その上で国土交通省のハザードマップ(インターネットで入力する)で当該地域の災害リスクを知っておくべきである。北海道の地震でも問題になったが、家の建設前に埋め立て地だったという場合は、液状化現象が発生するから注意が必要だ。住んでいる家の下の土地がどういう経過をたどってきているのかを知ったうえで避難対策を立てるべきだと思う。歯科医院ではすでに火災保険や地震保険に加入されていると思うが、昨今の各地での地震災害から地震保険料が見直されてきている。例えば木造住宅の場合、今年の1月から熊本では25.9%、東京で6.2%の引き上げになっている一方、愛知県では9.8%の引き下げになっている。地震保険単独では加入できないから火災保険とセットで加入するが、もし被害が出た場合は、その状況を必ず写真に撮っておくことである。保険会社に実害の証明として証拠写真は絶対に必要である。それと修理のための見積書は準備しておきたいものだ。
(つづく)
〔タマヰニュース2019年02月号より転載〕