2016年11月号
歯科医院経営を考える(470)
~第4次産業革命~
デンタル・マネジメント
コンサルティング
稲岡 勲
最近はCAD/CAMを使ったジルコニアの義歯が急速に普及している。変色しない、透明感に優れている、金属を使用しないので金属アレルギーの心配がない等々のジルコニアによる歯の治療が増えている。また小臼歯だけだが保険導入されたこともあり普及スピードが上がっている。製作現場の技工所も様変わりしており、コンピューターが並び以前のような技工所のイメージが全くない。東京で開業している知り合いの先生もジルコニアの義歯を奨めており、歯を抜いてミルクに漬けて、その歯の植え替えや移動等という技術を使って想像もつかない治療を進めている。一般業界での技術はさらに進み、アメリカで普及している造語だそうだが、金融(Finance)と技術(Technology)が結びついて「フィンテック」という言葉(概念)が普及し出している。スマートフォンを使って決済をしたり、資産運用、ビッグデーター、人工知能などの最新技術を駆使した金融サービスを指している。例えば「家計簿管理アプリ」等という銀行口座やカード情報を登録しておけば、自動的にどんなものを買って支払ったかといった情報を収集してくれるとか、スマートドライブといった急ブレーキの回数やドライバーの運転情報を収集して、事故の少ないタイプの人には損害保険料を割安にするといったサービスが始まっているという。大阪にサンコーインダストリーという会社がある。工業用ネジを中心に50万種ものネジを取り扱っており、どんな要求にも答えられる品揃えができることで有名な会社だ。そのネジをITで管理しており、エンジニアがコンピューターに入力するとアームロボットが棚から該当するネジを即座に持ってくるという中小企業でもIT技術を取り入れて徹底した合理化を進めている。一時ビットコイン(仮想通貨)が普及したが倒産して大問題になったことがある。3月4日の日経新聞によれば、政府は「仮想通貨取引の透明性を向上させる法規制案を閣議決定し、ビットコインなどの仮想通貨は「貨幣の機能」を持つものとして、公的な決済手段の一つであると位置づけた」と報じている。今後仮想通貨が急速に普及するのではないかと思う。わずか1,000円の送金でも432円の手数料を取るという規制が最も厳しく、従って新規参入が難しい金融業界は、今後ITの進展とともに衰退する典型的な業種ではないかと思う。しかし銀行業界だけでなく、マイケルオズボーンという経済学者が今後IT関連の技術が普してくると現在の仕事の47%がなくなると予想しているという。
(つづく))
〔タマヰニュース2016年11月号より転載〕