コラム

今月のコラム

2009年 11月号

歯科医院経営を考える(386)
~患者の価値観・行動様式の変化~

デンタル・マネジメント
コンサルティング

稲岡 勲

 先の衆議院議員選挙では、民主党が大勝して政権が変わり、政治が今大きく変貌を遂げようとしている。大型のダム工事の中止、ハブ空港の見直し、日航の再建問題、また医療行政では「後期高齢者医療制度」の廃止等々大きく政治も変わりつつある。医療では日歯も日医も、自民党を押したが結果は歴史的な自民党の敗北に終わりどちらも執行部に対して厳しい批判が噴出している。そうした中、日医の方針に逆らって民主党候補を推薦して話題になった原中茨城県医師会長が日医の会長選挙に正式に出馬表明をしたという。その記者会見で日医より送り出していた中医協の3人の委員が改選時期になっても、まだ決定していないことを挙げて執行部の政治への対応をめぐって批判を強めている。

 

 「重厚長大型産業の利益を優先しがちな日本経団連の歴史的使命は終わった」としてIT等ベンチャー起業家等中堅の経営者約100人が、新たな経済団体「日本政経倶楽部連合会」発足に向けて動き始めた、と10月20日付毎日新聞夕刊は報じている。「1000人の坂本竜馬を育てる」「未曾有の危機から日本を救うのは私たち」等という文言を設立趣意書に謳っているという。「バケツの穴をふさぐ」ような場当たり的な政策ばかり実施し、国家像を語らない今の政治家と経営者、経済団体への不満があったと同紙は解説している。政策研究のために併せてシンクタンク「日本政経連総研」も設立して政治家とも定期的に対話して政策提言に取り組むらしい。

 

 アメリカに始まった金融恐慌により、世界のほとんどの国々がその影響を受け、経済不況を経験しているなか、人々の考えや行動も大きく変わってきている。今まで欲しいものは借金をしてでも買うという行動のアメリカ人の貯蓄率が最近高くなっているというし、日本では最近デパートが値引き合戦を繰り広げており、有名ブランドの日本からの撤退も相次いでいる。今世界的な規模で思考回路の組み換え、つまり価値観の変化、行動様式の変化が始まっているのではないか。エコ問題も大きく話題になって社会的な関心が高まっており、価値基準が大きく変わる分岐点に立っていると思う。

 

 今後日本では高齢者の人口が急激に増えているが、こうした高齢者の口腔衛生はどちらかといえば後回しになっていた観がある。今後はクオリティーライフが大きなテーマになるだろうし、身体の健康と共に口腔衛生にも注意を払い豊かに生きることが求められる時代を迎えると思う。グループホームや仲間同士の共同生活の普及また在宅が重視され、ボランティア活動も活発になると思う。身体の健康という視点から口腔衛生や歯の健康を考える時代を迎えており、その時代にふさわしい啓蒙活動が求められている。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2009年 11月号より転載〕