コラム

今月のコラム

2010年 3月号

歯科医院経営を考える(390)
~医療関係者への歯科関連知識の普及を~

デンタル・マネジメント
コンサルティング

稲岡 勲

 政権が交代し民主党になって初めての保険点数改定が中医協で決定された。驚いたのは歯科の初診料が36点も引き上げられ218点になったことだ。(医科は2点引き下げられ270点になった)しかし依然として52点の差がある。ともあれ一気に差が縮まったことは朗報である。再診料も歯科再診料は2点上がって42点になったが、医科は71点が2点下がって69点になったから、差が31点から27点へと縮まったことになる。いずれにしても初診料や再診料で医科・歯科に差があること自体が異常だと思う。しかし一方ではスタディーモデル(50点)の廃止や、デジタル加算がなくなったし、義歯管理料も新製有床義歯管理料が、これまでは装着日から1ケ月に2回、100点が算定できたが、1回に限定され150点になり実質減点になった。どのくらいの減収になるか見当もつかないが、全体としては収入増加になることは間違いないと思う。ただ医科と歯科に微妙な隔たりが出来たことは避けられない問題で、今後の共同歩調に影響してくると思う。その意味で医科との関係は対政府との戦略的交渉の視点から共闘と独立の関係作りが不可欠になってくると思う。

 

 ただ個々の歯科医院の段階では、各地域の医科の先生との連携の必要性は増してきているように思う。先日岐阜のある歯科医院を訪問したが、近くに若い院長の内科医院が開設されたことをきっかけに連携され、患者の内科的な問題では相談に乗ってもらっているという例があった。その先生に患者を紹介したり、その先生の往診先を紹介してもらって在宅に力を入れると共に、協同研究のテーマを見つけて勉強会を持ったという例があった。これなどは稀なケースだが、もっともっと広げるべきではないかと思う。介護や在宅診療は医科の先生が中心に展開されるが、だからこそ医科の先生方に歯科関連の情報を提供して理解を深めてもらうことが重要ではないか。疾病の予防並びに健康を維持増進させることを目的として設立された「一般社団法人日本健康医療学会」では、これからの歯科医療では、健康に関する全身的知識が必要だという趣旨で、健康医療コーディネーターの養成を行っているが、こうした医科と歯科の橋渡しになるような人材も必要になってくるのではないか。特に医科の先生やスタッフに対する歯科関連知識の普及が非常に重要ではないかと思う。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2010年 3月号より転載〕