2013年 7月号
歯科医院経営を考える(430)
~自医院の経営実態の把握を~
デンタル・マネジメント
コンサルティング
稲岡 勲
月刊誌「ZAITEN(財界展望)」、「週刊ダイヤモンド」がともに歯科医の問題を取り上げている。そのタイトルが「歯科医倒産ラッシュの悪夢」(ZAITEN)、「もうダマされない!歯医者の裏側」(週刊ダイヤモンド)というものだ。「もうダマされない」等という表現はマスコミの読者獲得を意図する常套手段の見出しだ。このような雑誌がよく歯科医を取り上げるのは歯科の先生方の反応が敏感で、こぞって買い求めるために売り切れ書店が続出する場合があるからではないかと思う。発行部数を増やすには格好のテーマなのだろう。週刊ダイヤモンドの方は、厚労省の「歯科疾患実態調査」や「医師・歯科医師・薬剤師調査」「医療経済実態調査」等を参照する等記事の中身の信頼性は確保されているようだが、掲載されているインプラント対応リスト等にはインプラント治療の実績豊富な先生の名前がでていない等疑問を持たざるを得ない。筆者の知り合いの先生もほとんど買って読んでいる。他の医院の動向が気になるという心理は理解できるが、自己の医院の経営にプラスする情報は皆無である。
先ず自己の医院の実態をしっかり把握することが重要ではないかと思う。少なくとも5年先の経営環境を想定して、何をどう変えていくべきかを考えるべきである。その場合、①保険制度はどうなるか、②一般的な経済状況、③地域の経済状況(景気がよいかどうか)④地域住民の人口と年齢構成、⑤近くの学校の生徒数、せめてこのくらいの情報は確保したい。これらの情報を入手しても、今すぐどうするというわけではないが、5年先にはどうなるだろうと想定してみることである。市区町村の役所に行けば、人口の動向はすぐわかる。増えつつあるのか減少しているかもすぐわかる。今、開業間もない先生を見ているが、日々の診療で手一杯という状況で外部に目を向ける余裕がない。忙しく大変だが、それに埋没してしまうとそれ以上は伸びない。治療技術については研修会等に出席して上を目指して貪欲に学んでもらいたいし、歯科界で名の通った先生の治療を見学するよう勧めている。自分の技術に満足してしまうと進歩がなくなってしまい、常に上を向いて挑戟する姿勢が必要だと思うからだ。同時にできるだけ地域の人達と顔を合わせること、自治会や、地域の清掃等に顔を出して交流することを勧めている。
10年前に比べると一段と経営環境は厳しくなっている。だからこそ患者を観察し見る(診る)ことに重点を置くべきである。他の医院を見てもしようがないのである。経営は最終的に経営係数として表現される。従って経営実績を見れば、どのような経営をされているかがほぼ見当がつく。今年も収支アンケート調査を実施しているが、参加を希望いただく先生があれば、下記にFAXいただければ、調査用紙を送らせていただき、12月頃には結果の報告と、先生の経営への簡単なコメントをさせていただくので参加いただきたい。(デンタル・マネジメントコンサルティング FAX:0744-27-2489)
(つづく)
〔タマヰニュース2013年 7月号より転載〕