コラム

今月のコラム

2014年 12月号

歯科医院経営を考える(447)
~エンディングノートの作成~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 ライフプラン(主に資金的な面からの人生設計)作成等についての相談に乗るファイナンシャル・プランナーという仕事がある。自分の夢や目標に対して総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法がファイナンシャル・プランニングである。このためには、金融、税制、不動産、住宅ローン、生命保険、年金制度などの幅広い知識が必要になるが、これらの知識を備え、夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートするパートナーが、FP(ファイナンシャル・プランナー)の役割である。顧客である個人から、収支・負債・家族構成・資産状況などの情報提供を受け、それを基に住居・教育・老後など将来のライフプランニングに即した資金計画やアドバイスを行う職業である。若い人の場合は結婚して子供ができたあたりから「ライフプラン」の作成を勧めたい。自分の仕事上の目標や夢、家族の目標や夢を実現までの計画をしっかり設計することが重要だと思う。ましてや歯科医院の院長として開業するとか親の後を継いで医院を経営するといった環境にあれば尚更である。事業には多額の資金が不可欠だが、銀行や親からの借り入れや医療機械器具の購入等事業計画の作成は不可欠であり、それを含めた自分のライフプランの作成を勧めたい。

 

夢や目標をかなえるには、先ず事業計画とともに人生設計とその裏付けとしての資金計画が不可欠である。筆者も仕事の性格上CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)という資格を取得しているが、先日NPO法人日本ファイナンシャルプランナーズ協会の研修会に出席した。テーマが「エンディングノートの作成」である。最近はこのエンディングノートの作成がはやっているという。作成しているのは主に高齢者が多いようだが、突然死という事態もあり得るから50歳代くらいから作成しておくべきだと思う。最近は本屋で多種類のエンディングノートが売られているから自分で書いてみることを勧めたい。相続という視点とは異なり、自分史でもあり、自分がどのような思いで歯科医院を経営してきたか、どのような思いで診療してきたか、今までを振り返って家族への思いをまとめておくのもよいのではないかと思う。相続の契約書ではないから拘束力はないが自己の歴史、生きざまとしての意味もあり、寝たきりや介護を受けたい場所や、認知症になった場合の希望や延命治療に対する考え、病名の告知、死後の臓器提供の有無等々、家族に知っておいてもらいたい内容を明記しておくことも必要である。淡路島では放置された墓石が話題になったが、各地で放置され草ぼうほうの墓が目立っているという。そういう事情から葬儀や供養について考えを記録しておくことも必要だと思う。最近は海洋散骨、樹木葬、宇宙バルーン葬、果ては宇宙葬というのもあるのだそうだが、自分の意志を伝えておくことは重要である。

(つづく)

 

〔タマヰニュース2014年12月号より転載〕