コラム

今月のコラム

2018年 1月号

歯科医院経営を考える(484)
~AIによる医療支援~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

  新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申しあげます。
 日本も第四次産業革命に入ったと報じられている。IOT(Internet of thing あらゆるものがインターネットにつながる)社会、またAI(人工知能)といったコンピューターが自動学習する時代を総称してそう呼ばれているようだ。建設機械メーカーのコマツ製作所が開発・導入した「スマートコンストラクション」が凄い。今土木業界で話題になっているが、ドローンを飛ばして上空から地形や土地の高精密写真を撮り、その情報を飛ばしてコンピューターに送り、そこで三次元の完成予想図や工程数や施工順序等を計算し、その情報を自動運転するブルドーザーに送り、人手をほとんど使わずに整地を行うというシステムを作り国内各地で運用されている。これによって約1万人の測量士が失業したという。昨今の人手不足がさらにIT(情報技術)化に拍車をかけている現状にある。IT化では一歩進んでいる中国(香港)では、フランス系のスーパーが定員のいない無人のコンビニを出して話題になり初日だけで1万人の来客があったと言われているが、スマホアプリで本人確認をしてから入店し、自分で商品をレジで読み取って買い物をするという。また北京の物乞いはお金を入れる箱ではなく、首にカードをぶら下げていて、施す人は自分のスマホからいくばくかのお金を、カードに転送するという。我が国でもセルフレジを使ったコンビニやスーパーが出てきているが、平成26年には東京大学医科学研究所において、専門医でも診断が難しいとされる60代の女性患者の特殊な白血病を、約2,000万件の医学論文を学習した人工知能(AI)が10分ほどで見抜き、担当医に適切なアドバイスをして女性の命を救ったことで新聞に大きく報道されたことがあった。また歯科においてもIT化が進んできているようだ。矯正治療のために子供の口腔内を口腔内スキャナーで撮り、そのデーターを送ると、その患者の口腔内の治療開始から最後まで、治療経過の治癒ごとのあるべき写真の明細が送られてきて、それに沿って治療を進めれば、何か月後に完治するといった手法で矯正治療が行われているという。しかし今後いくらAI化が進んだとしても、最終的には人間が最終診断を下すという局面は変わらないと思う。ロボットには人間のような微妙な感情や誇りや哀しみという感情面での真似はできないからである。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2018年 1月号より転載〕