コラム

今月のコラム

2019年08月号

歯科医院経営を考える(503)
~金属床総義歯(上顎)の価格差~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 7月13日から3日間、日本大学歯学部講堂で第60回、日本歯科医療管理学会総会・学術大会が、「新しい時代の歯科医療管理」~「今改めて安全・安心信頼の地域と繋がる歯科医療」というテーマで開催され出席した。今回は興味深い内容の発表があった。特に筆者が興味を持ったのは、愛知県歯科医師会の藤井先生が発表された愛知県で7年間にわたって新規開業の歯科医院を調査したもので、「愛知県歯科医師会における新人会員の実態調査について」であった。H(平成)23年-41名、H24年-37名、H25年-64名、H26年-62名、H27年-63名、H28年-57名、H29年-84名で、新規開業が60.8%、事業承継が28.4%、開業までに10年以上の勤務医生活を送った先生が40.4%と最も多かったという。最近は高額な医療機器の購入が目立っているが、歯科用CTを導入した先生が53.6%だという。また北海道医療大学予防医療科学センターを中心にまとめられた「保険外併用療養の『特別の料金』における都道府県格差について」の発表は従来にない内容であったと思う。先ず、地方厚生局が公表しているデーターに基づいて、金属床による総義歯の提供:コバルト(上顎)についての自費診療における自費料金の都道府県格差の有無を明らかにしようとするもので、平成30年10月1日現在のコバルト(上顎)金属床総義歯の全国平均価格は216,941円(n=25,448)であり、上位5県は、東京都:275,035円、神奈川県:254,791円、埼玉県:238,584円、京都府:238,421円、静岡県:234,923円だったという。また下位5県は、沖縄県:142,159円、島根県:145,469円、鳥取県:160,193円、青森県:176,297円、福井県:178,772円であったという。今後ほかの金属における状況やほかの要因との関連性を含め検討すると結論付けられていたが、今後の研究に期待したいと思う。同大学の予防医療科学センターでは、さらにう蝕に罹患している患者の指導管理でフッ化物局所応用における1口腔につき1回の特別料金価格を用いて都道府県毎の平均値を算出し、その比較もしている。全国平均は1,763円、最高額が福井県の2,255円、最低は熊本県の1,196円だったという。その他ポスター発表にもユニークな発表があり充実した学会であった。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2019年08月号より転載〕