コラム

今月のコラム

2021年 3月号

歯科医院経営を考える(521)
~お互いの感情の共有と交流~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 昨年、令和元年分について収支アンケート調査を実施(回答数98件)したが、対前年比収入増加医院が73.2%、減少医院が26.8%だった。また調査対象の医院全体でコロナウイルスの影響を聞いたところ、75%の歯科医院で影響があったと回答しており、その影響度合いは収入が2割減少、患者数では2.2割の減少と出ている。しかも院長の年齢が30~40歳の医院では53.1%の医院で影響が出ていると回答、50~60歳では79.4%、70歳以上では90%と高くなっておりコロナの影響は高齢者に厳しい状況である。今年はコロナの影響で収入がさらに減少する医院が出てくるのではないか。特に都心部での落ち込みが大きいと思う。現在10都道府県に対して緊急事態宣言が出され、3月7日まで継続されるという。飲食関係やイベント業界は壊滅的な影響をうけているが、歯科医院経営も少なからず影響を受けている。前年の収入が50%以上落ち込んだ場合は、「持続化給付金」として国から支給される給付金(100万円)を受けることができる制度があるが、東京の某歯科医院もその支給を受けて助かっている。新型コロナの影響は人々の考えや行動に大きな影響を与える。マスクをしてこないで来院し、大きな声で話す患者や、逆にそれを非難して言い争いになるといった患者同士のトラブルも発生している。また医院のスタッフ同士でもトラブルになるケースも出ているが、コロナによってスタッフ間の人間関係、チームワークが壊れないように注意する必要がある。自由に行動できないと感情が鬱積して、ちょっとしたきっかけで感情が爆発する。あるボランティア団体の会長を務めているが、毎月コロナの影響でズームを使ってのTV会議を実施している。ところがこれでもお互いの微妙な感情が読み取れなくて、会議後に不満を抱え込む人が出てくる。そこで3回に1回は実際に顔を突き合わせて会議をするようにしているが、お互いの感情を共有することの難しさと、重要さをつくづく感じている今日この頃である。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2021年 3月号より転載〕