2021年 4月号
歯科医院経営を考える(522)
~老後の資産管理~
デンタル・マネジメント
コンサルティング
稲岡 勲
今年で82歳になるのを機に加入している生命保険会社の「家族情報登録制度」に子供(2人)の情報を登録することにした。老けて記憶力が低下し、保険契約の内容が分からなくなった時に、親に代わって保険内容の提示を受け、契約書類等の請求ができ、緊急時の連絡を受けることができる者の登録である。ただ本人に代わって預金を引き出したりはできないので、さらに記憶力が低下しているようなら、子供の一人を成年後見人として家庭裁判所に申し立てて専任してもらっておくべきだが、そこまで至っていないと自分は思っているが・・・。なおさらに弁護士等成年後見人を監督する人間を選定する場合もあるが、費用もかかるからそこまではしなくてもよいと思う。なお成年後見人として長男を選んだら、他の兄弟にもその旨を知らせておき、年に1回くらいは、兄弟間で情報の共有を図る機会を作っておくべきである。親が長生きして100歳近くまで生きる人が増えてきており「老老相続」等と言われるご時世だが、先を見据えて準備をしておくことを勧めたい。日本老年医学会では「高齢者」の定義で、65歳~74歳を「准高齢期」、75歳~89歳を「高齢期」、90歳以上を「超高齢期」と定義している。准高齢期はまだまだ元気な人が多いが、親が健在なら親の財産管理がしっかりしているか、高齢期を迎える自分の資産管理と日々のキャッシュフロー表(月々入るお金と出ていくお金の流れを把握する)を作成して今後のライフプランを把握しておく必要がある。2019年7月に大きく相続税が改正された。相続争いが発生している相続の遺産額は5000万円以下が75%だという統計が発表されているが、遺産額が大きい場合は、それほど争いが発生していないという。注意したいのは、今回の改正で基礎控除が引き下げられていることだ。以前は「5000万円+1000万円×法定相続人数」だったが、改正されて⇒「3000万円+600万円×法定相続人数」に変更されたことだ。妻と子供の2人の場合なら、以前では8000万円までは課税されなかったが、今は4800万円を超えれば課税の対象になるということだ。争いが増えている少額の遺産総額にわざわざ焦点を合わせるように改正したのだと思う。最近の医療法人の設立増加もこうした相続問題が絡んでいるように思う。
(つづく)
〔タマヰニュース2021年 4月号より転載〕