コラム

今月のコラム

2020年07月号

歯科医院経営を考える(513)
~低温有機物分解炉の開発~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 私的な話で恐縮だが、知り合いで40歳の若いころから低温有機物分解炉の開発に一生をかけてきた66歳の男がいる。仕事もせず、奥さんの稼ぎで生活し、まともな職に就かずに低温有機物分解炉の開発に一生をかけてきた男である。彼によれば磁性によって燃焼が増幅されるという理論的根拠は、19世紀(1861年)にファラディの「ローソクの科学」によって発見されていたが、その後強力な永久磁石が開発されることによって研究が進み、独立行政法人産業技術総合研究所の若山信子氏によって空気流や燃焼反応制御等についての研究が進んだという。空気中の気体の多くは反磁性で、酸素のみが常に磁性を持っているという。この酸素の磁性への吸引力により高酸素濃度の流れが加速され(これを「空気整流」という)強い磁性の中では燃焼力が強まり燃焼が促進されるという。(模型図参照)この理論の面白いのは、一般的な酸素と空気とで燃焼させるという考え方ではなく、高濃度の酸素の中で燃やす物体の分子を分解するという点にある。無磁場の場合に比べて2倍強の燃焼速度を達成し、更に燃焼促進のためのランニングコストがゼロになるということである。高温燃焼の場合は燃料費等のランニングコストが非常に高くなるとともに、化石燃料を燃焼させるために多量の炭酸ガス、ダイオキシン等有害物質を多量に排出するが、この低温有機物分解炉は、整流した空気の中で最低限の酸素で燃焼し、炎を出さずに蒸し焼き状態で廃棄物を灰にするという。ただ低温状態で処理されるために還流ガスが発生するが、この還流ガスを燃料として活用することでボイラーの熱源に応用するという。面白い考えの炉だから何とか実現させてやりたいと思い、クラウドファンディングで資金を集め、実験にこぎつけたいと老体に鞭打って頑張っているところである。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2020年07月号より転載〕