コラム

今月のコラム

2020年02月号

歯科医院経営を考える(509)
~行政への関心を~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 2018年7月5日改正水道法が衆議院で可決成立して以後、各地で水道の運営権を民営企業に売り渡す事例が出始めている。なぜか?それは、①施設の老朽化、②人口の減少(特に地方で)、③コンセンション方式(施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間業者に委任する方式)、というのが大きな流れである。特に宮城県では上水道、下水道、工業用水の運営権を一般企業に譲渡する案が可決成立し、3月には譲渡先企業を選び、4月から実施するという計画が出ている。こうした動きを注意してみていく必要があると思う。上下水道の民営化をはじめ、TPP交渉、種子法廃止、種苗法等々の法律の改正が目白押しの感がある。どういう意図で、政策をどう変えようとしているのかを、時間をかけてしっかり見ていく必要がある。例えば種子法廃止と同時期に導入された「農業競争力強化支援法」である。それは日本の都道府県が多大な努力を払い蓄積してきた「公共種子の開発データー」を民間企業に無料で提供するというものである。なぜそこまでするのか?それはTPP(環太平洋パートナーシップ)に基づく規定からだということだが、ならばTPPそのものについても、われわれ日本国人のためにプラスになるのかの問いかけが必要だと思う。アメリカのモンサント社は世界の種子会社を買収し、自社の農薬にだけ耐性を持つ遺伝子組み換え大豆を開発し、同社が特許を持つグリホサート農薬(ラウンドアップ)とセットで世界中に売り出した。これは画期的な発明で他の農薬を使うと枯れてしまうといい、一度この種子を使うと農家はその後もずっとこの種子とセットで買い続けることになるという。現在では全米の大豆の6割を占めるようになったという。ところがその大豆を日本に輸入しようとすると、大豆に残留する農薬が日本の安全基準に引っかかるというので、政府はアメリカ産大豆のグリホサート残留基準を5倍に引き上げたというから驚きだ。更に2017年6月農水省はグリホサート農薬(ラウンドアップ)の残留基準を大きく緩める決定をした。トウモロコシ5倍、小麦6倍、甜菜75倍、ヒマワリの種400倍も引き上げている。こうした事実や情報を把握して、目を光らせ日常の話題にしていく必要があるのではないか。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2020年02月号より転載〕