コラム

今月のコラム

2021年11月号

歯科医院経営を考える(529)
~慎重な電力需給の調整を~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 今年の冬は停電が噂されているが、冬季の停電は年寄り身には応える辛さだ。最近省エネと共に再生エネルギーが話題になっている。脱原発とともに、太陽光発電や風力発電を推奨する人が増えつつある。無限に存在するわけだから自宅で利用することは結構なことだが、売電となると問題である。国策となればコストの面で慎重に考え、負担が大きくならないように配慮する必要があり、電気というものの特性をよく理解しておく必要がある。電力というものは、需要量と供給量が同じでないと機械や器具が壊れてしまうのだ。例えば風力発電は風力の強弱によって発電量が変わる。一方で工場や家庭で電力を使う方は、工場が動いている昼は需要が大きいが、機械が止まると必要電力は小さくなる。家庭では昼は余り使わないが、夜は使う量が増える。この電力の需要量と供給量をどこかで調整しないと、機器が壊れるという問題は発生するのである。いらないからと需要を上回る電力の供給があっても放電してしまうこともできず、現在は捨てる量の電力について補償金を支払うという制度を採用している。その負担が電気を使う者に上乗せされているのである。いずれにしても太陽光パネルや風力発電を使えば使う程電力料金が割高になるという問題がある。しかも山の木を切り倒して太陽光パネルを設置している風景を見ると、水源を維持するための山野がなくなっていく風景に愕然とせざるを得ない。将来は蓄電の技術が発展して大容量の蓄電が可能になれば問題は解決されるのだろうが・・・。また太陽光パネルの耐用年数も20~30年と言われるが、設置年数が経過すると発電効率が落ちるとも言われており、それほど発電効率の良いものではない。原発の事故以来、脱原発が強調されているが、原発の見直しが不可欠だと思う。それに小型の原子炉の開発を急ぐべきだ。脱原発の先進国と言われたスペインがエネルギー危機に見舞われているという。気候の変動によって風が吹かなくなって発電量が2割減少したところに、ヨーロッパ各国が一斉に天然ガスの発電に切り替えたから天然ガスが高騰して電力市場価格が前年の6倍に高騰したと日経が報じている。脱原発は慎重に考えるべきだと思う。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2021年11月号より転載〕